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序曲「過去への敬慕」( L.M.Vogt作曲)について

 
作曲者L・M・ヴォートは、19世紀から20世紀にかけて,スイスのィヴェールトンの町に住み、マンドリンの教授を
していた。彼の作品には、この他に前回、62回定期演奏会において上演した組曲「山岳写景」などがある。
本日演奏する序曲は、1921年「イル・プレットロ」社の主催による作曲コンクールにて金賞を獲得した応募曲であ
り、和声学、対位法等において古典派から脱皮した優れた作品と言える。「過去への敬慕」というのは、「過去へのマ
ンドリン音楽全般に対して敬愛の意を表わす。」という意味だが、そこには彼自身の若き日の美しい恋愛を思慕する心
が含まれている。

2分の2拍子Allegro ma oon troppoに始まる情熱的な主題は、やすらぎを与える2分の2拍子 Piu lento、ロマ
ンチックな2分の2拍子Meno Mossoとは対照的なものがある。

次にギターとマンドチェロに導かれる2分の2拍子 Piu lentoと中間部の8分の9拍子AndanteSostenuto。再び
現われる2分の2拍子 Allegro meno mosso でのマンドリンとマンドラとの織りなす二つの旋律の綾は他の楽器に暖
く包まれて、過ぎし日のあらゆる事象の融合を示し、この曲最高のィンスツルメンティションを築く。そして曲は次第
に高まり終結部に入る。



(第63回定演パンフより)

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