『スペイン第三組曲』について
1. ヒタ-ノ(Gitano)
黒い頭髪褐色の皮膚 --‐
そして黒い眸に
排他と親しさが雑居するヒターノ(ジプシー)には
厳しい掟や古い因習が多い
けれど根深い因習とは別に
気が向けば時、所を選ばず
奔放に歌い踊る陽気な一面もある
しかし、その時が過ぎれば
すぐ、どうしょうもない暗さが
身辺に漂よう ヒターノ ---
2.夜想曲(Nocturno)
重々しい夜の寺院に
思い出したように鐘が鳴る
回廊のアーチに遠い昔
ムーア人が残していった赤と白の
ダンダラ模様の描き出すアラベスク
気づくと潮ざぃのような街のどよめき
その中に微かなカスタネットや
キタルラの響きがある
そして奏なでる民俗楽にも
かくしきれないムーアの体臭が
滲じみだしている
(ゴルドバ メスキータ聖堂にて)
3.春の祭(Fiesta dell Primaveld)
何かにつけ集って騒ぐことの好きな
スペインには、祭りが多い
桁はずれに大げさな春の祭には
巨大な花車や華麗な花飾り
民族色豊かな
晴れ衣裳の行列
夜は夜で花火が夜空を色どり
聖堂には数へきれない灯が捧げられ
カテドラルの鐘も
“今日は別だぞ/"
高く鳴りひびく
(セビリアとバレンシアの祭より)